お帰りなさい、ゲネラル・ラザレフ!:日本フィルハーモニー交響楽団第729回東京定期演奏会

日フィルを愛する我々が待ち望んでいた巨匠ラザレフの、コロナ禍での来日。日フィル事務局の奔走と、76歳の巨匠が14日間の隔離を受け入れてくれたことで実現した今回の定期演奏会。サントリーホールはほぼ満席でした。

曲目は前半がグラズノフの交響曲第7番「田園」、後半がストラヴィンスキーのペトルーシュカ(1947年版)。

東京都知事による理不尽極まり無い「要請」により、緊急事態宣言前の最後の演奏会となりました。

グラズノフ:交響曲第7番「田園」

私、実演で聴くのは初めてです。エフゲーニ・スヴェトラーノフの音源で予習しましたが、予想どおり、だいぶイメージが異なりました。

今日の私の印象では、ディヴェルティメントのような、とても明るい曲。グラズノフの作曲家としての技巧の冴えを感じさせます。

リハーサルは例によってみっちりだったと仄聞していますし、日フィルの管の首席陣の名技も存分に発揮され、鮮やかな演奏となりました。コロナの妖しい緑色の霧を吹き飛ばすような快演。(なぜ緑色なのかはみなさんおわかりですよね?)

前半のホルンのトップは信末さん。Bravo でした。

ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(1947年版)

よく演奏されるのは「組曲」ですが、今日は舞台でバレエ音楽として演奏されるヴァージョン。ただし、第4場の後半で組曲へ移行するという珍しい措置が取られました。実際に聴いてみると、この方が一気にフィナーレに雪崩れ込む感があり、正解であったと思います。さすがボリショイ劇場での経験豊富な巨匠ですね。

演奏は、素晴らしいの一語に尽きました。日フィルは持てる力を出し切ったのではないでしょうか。あの踊り子のフルート・ソロの場面では、ラザレフは指揮台を降りて、真鍋さんのソロに聴き惚れるジェスチュア。オッタヴィオの長い息が必要な難物のトランペット・ソロの箇所でも、彼の好きなように、嬉しそうに吹かせてました。

劇場指揮者としてのラザレフの力量はほんとうに大したもので、舞台が見えるよう。いやいや、素晴らしい。

日フィル、大健闘

コンマスは扇谷さん。ヴィオラのトップはデイヴィッド。素晴らしい表現力。 木管は敬称略でフルート真鍋、オーボエ杉原、アングレ佐竹、クラ伊藤、ファゴット鈴木、コントラファゴット田吉。このメンバーのアンサンブルには文句のつけようがありません。ホルン、後半は丸山さん。トランペットも後半はオッタヴィオが満を侍して登場。素晴らしかったです。(オッタヴィオは、先週の横浜定期の休憩時間にもペトルーシュカをさらってましたからね。)

将軍ラザレフの帰還に、聴衆は大満足。巨匠も嬉しそうでした。秋にはブラームスの2番と、ショスタコの10番が予定されています。そのときには緑の妖霧が晴れていることを祈りましょう。

この記事を書いた人

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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