5月5日

A party without cake is just a meeting. ~ Julia Child

今年の元日から、この日めくりカレンダーについての雑感と私訳を書いています。続けていく中で、今までまったく知らなかった人々との出会いがあり、これが楽しみになっています。今日の Julia Child さんも、調べてみたら驚くべきキャリアをたどった方でした。

彼女はアメリカの料理研究家です。1960年代、フランス料理をアメリカの家庭に紹介する彼女のテレビ料理番組は大ヒットし、圧倒的に有名な存在となりました。日本だと、村上シェフ(元帝国ホテル常務取締役総料理長)の女性版といったイメージでしょうか。晩年には「アメリカ料理の母」と言われるまでになり、彼女のキッチンはなんと、スミソニアン博物館に保存されています。映画にもなっていて、彼女の役を演じたのは、名優メリル・ストリープ! そして2014年には郵便切手にも登場しました。

そんな彼女ですが、結婚するまでは料理に興味はなかったそうです。ご主人が非常に繊細な舌を持つ料理愛好家(ただし、食べるだけ)で、そんな彼を満足させようと料理に目覚めたそうです。ご主人は外交官で、新婚の二人はパリに赴任。そこでコルドン・ブルーに入学し、本格的に料理を学んだのがスタートだというのですから、人生、面白いものですよね。

しかし結婚前の彼女のキャリアは、ある意味で凄みのあるものでした。第二次大戦中に大学を卒業した彼女は、OSS(CIAの前身)に就職。初めはドノヴァン長官のタイピストでしたが、その分析力で頭角を現し、スパイの後方支援で重要な役割を担うようになり、大戦後期にはセイロン島、そして中国の昆明(当時、中国共産党の抗日戦線の拠点でした)に派遣されています。セイロン島では、対潜水艦用兵器に噛りついてダメージを与えるサメへの対策を担当していたというのですが…

ご主人に出会ったのは昆明でのこと。彼も情報将校でした。終戦後は外交官に転じましたが、おそらくは情報担当であったと考えられます。

さて、今日の言葉を眺めてみましょう。素直に訳した方がよいですね。

ケーキのないパーティなんて、それじゃ単なる「会議」じゃないの!

Julia Child さんの自叙伝 “My Life in France” と、彼女が登場する映画の原作 “Julie and Julia” を発注しました。面白そうですよね。いずれ書評でご紹介したいと思います。

この記事を書いた人

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元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して17周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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