高齢の経営者が引退を拒否するとき〜追記

前回のブログで、周囲の人々、とくに後継者がなすべきことは、いたずらに引退勧告をするのではなく、
・学び、支える意欲を見せる
・退く経営者に象徴的な役割を用意する
ことが必要だと書きました。

実はもう一つ、大切なことがあります。 忘れていたのではありませんよ(笑)。回を改めて、ご説明しようと思っていたのです。

それは、ひとことで言えば、

受け継いだ暁に、会社をどのようにしたいのかを、十分に練り上げておく

ということです。

つぎのようなことを考え、周到に準備しておかなければなりません。

1)理念をどのように受け継いでいくのか
2)事業をどう展開するのか
3)どのような経営チームを組むのか

順番にご説明しましょう。

理念をどう受け継いでいくのか

理念を引き継がないのであれば、そもそも継承する意味がありません。しかし、そのまま墨守するのがよいのかといえば、それは違います。

とくに創業経営者から継承する場合には、理念の整備(ファインチューンと言ってもよいですね)が必要となります。

創業経営者は「歩く理念」のようなものですから、創業経営者が健在である間は理念の表現にこだわる必要はないのです。

創業経営者自身が語る理念も、本質的であることは間違いないのですが、必ずしも体系的ではないことが多いですよね。

受け継ぐ側は、それを社員にとってわかりやすくするとともに、首尾一貫させなければなりません。これが理念の整備です。

この理念の整備は、退く経営者と相談しながら進めるのが理想です。そうすれば、自らの想いがしっかり受け継がれていくのだと感じてもらうことができるからです。

事業をどう展開するのか

受け継いだ途端にまったく新しい事業を展開する経営者がおられますが、賛成できません。それならご自身で起業すべきです。

かといって、先代が築いた事業を守るだけというのでは先行きが危ぶまれます。事業環境は刻々と変化してくからです。

後継者としては、理念を踏まえた上で事業をどう展開するのか、少なくとも腹案を固めておくべきです。

もし可能であれば、次にご説明する次世代チームと議論し、認識を合わせておくのがよいでしょう。

この事業構想について、退く経営者の同意を得ておくべきかは、微妙です。あまり器の大きくない人だと、「俺のやってきたことに文句があるのか」と怒ってしまうこともありますからね。

どのような経営チームを組むのか

自分としては誰と組みたいのか、はっきりさせておかないと、後々社内での動揺を招きます。 これと思った人物とは、握っておくことをオススメします。

ここで難しいのは先代から引き継ぐ経営幹部の処遇です。 この人たちを冷遇すると先代に泣きついて大騒ぎになったりするので、慎重な対応が必要です。このあたりについては、また回を改めて私の考えをご説明いたしますね。

この記事を書いた人

元永 徹司

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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