ソリスト・アンコールが一番印象的だったとは…:読売日本交響楽団第248回土曜マチネー

実は梅雨明けしたのではと思わせる酷暑の中、注目のファゴット奏者を聴きに芸劇まで。土曜日のマチネとあって、9割くらいの入り。見た感じ、平均年齢は70台後半?往年のN響定期を想起させるものがありました。

曲目は名曲コンサートだけあって、最初にワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲、そして私にとって本日のメインであるモーツアルトのファゴット協奏曲。後半にベートーヴェンの交響曲第7番。指揮は常任指揮者のセバスティアン・ヴァイグレ。

ワーグナー:「さまよえるオランダ人」序曲

さすがフランクフルト歌劇場音楽監督であり、ワーグナー初期オペラ集の音盤もリリースしているだけあって、立派な演奏でした。

ただ、私にとってこの曲はホルスト・シュタイン/N響を忘れることができず…  聴衆としてのキャリアを重ねることは、厄介なことでもあるのですよね。

モーツアルト:ファゴット協奏曲

ソリストのロラ・デクールはフランス人で、いまはフランクフルト歌劇場の首席ファゴット奏者。読響のプログラムだとチャイコフスキーコンクール4位となっていますが、ご本人のサイトだと第一位。こういうあたりは、ちゃんとチェックしてほしいですよね。

すごく上手いです。めちゃくちゃ指が回るし、音にも嫌味はなく、確かに歌劇場のオケの首席という感じがします。

ただ、この曲で個性を出すのは難しいですよね。下手するとモーツアルトではなくなってしまいますし。いっそのことジョリヴェとかフランセとかやってほしかったですが、今日の聴衆だと受け入れ難いでしょうし…

ヴァイグレの伴奏指揮はお見事。さすが本人が一流の管楽器奏者であっただけに、オケの音量の調整は完璧でした。これくらいに弦を押さえてくれると、ソリストは吹きやすいですよね。

アンコールは、全く知らない曲で、ジアノーラのアフロキュバーナという曲。この演奏が凄かった!まあ、上手いのなんの。最後、吹きながら袖に引っ込んでいくという演出も出色でした。

実は私にとって今日いちばん素晴らしかったのは、この曲。

それにしても、ソフィー・デルヴォーといい、このロラ・デクールといい、本来はバッソンの国から続々とファゴットの名手、それも女性が輩出しているのは興味深いですね。

ベートーヴェン:交響曲第7番

会場は大いに盛り上がりましたが、私としては首をかしげたくなる演奏でした。ヴァイグレの意図はもっと繊細な演奏だったのではないかと。あくまでも個人的な見解ですけれど、コンマス(長原さん)が重い。なんだろう、「いつもの読響の7番をやらせてもらいます」といったような… 一方で柳瀬さん率いるヴィオラはヴァイグレの意図に俊敏に反応していたように聴こえましたが。

先日のブルックナーの7番では、あれだけ指揮に反応していたのに(ただ、あのときは小森谷さんがコンマス)、どうしたことでしょう。

オケについて

フルート倉田さん、オーボエは新日からエキストラで神農さん。クラは中館さん、ファゴット吉田さん、ホルンは日橋さん。みなさん、さすがに上手い。ただ、このメンバーなので、もっとすごい演奏に成り得たと思うのですけどね。

芸劇2F、I列45番以降にご注意

今回、私は出遅れて2階K列54番の席になってしまったのですが、この周囲の土曜マチネー会員と思しき高齢者の方々のマナーは酷い。7番第二楽章の繊細な部分で、バッグからのど飴を取り出し、1分くらい時間をかけてパリパリ袋を開けて食べたり、ガソゴソと鞄をまさぐったり、居眠りしてオペラグラスを落としたり。(かなり大きな音がしました。)

みなさん、間違ってもこの辺りに席を取らないようにしましょうね。

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元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して17周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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