さんだいさんのブログで紹介されていたのに触発され、即購入。 とはいえ忙しくてすぐには読めず、金曜日の夜、「昭和元禄 落語心中」の最終回を見終えた後に読みはじめました。実は私、ミステリーってあまり読まないのですが、これには引きこまれました。おすすめです。
主人公は「私」。19歳のボーイッシュな女子大生。彼女が思わぬ経緯から落語家、春桜亭円紫と知り合い、さまざまな「事件」(殺人事件とかの大げさなものではなく)の謎を解いていくというお話です。 この「空飛ぶ馬」が第1作で、短編が5つおさめられています。
なにせ版元が創元推理文庫ですから、堂々たる謎解きミステリーではあるのですけれど、私は小説として読みました。いや、ミステリーであることを忘れるくらいに、「私」の周辺の日常の描写が素晴らしい。
そしてもうひとつ。謎を解いていくのが落語家であるという設定であるため、落語の話がひんぱんに出てくるのですが、これが実に味わい深い。作者の落語についての造詣と、愛情の深さをうかがい知ることができます。それだけではなくて、なんというか、著者の落語についての趣味に、私は共感しました。
このシリーズ、あと5冊あるということなので、急いでポチりました。今日届くはずで、楽しみです。まあ、そんなに焦る必要はないのですけどね。
蛇足ですが、この「空飛ぶ馬」が刊行されたのは1989年。インターネットもスマホもない時代なので、待ち合わせの場所を知らせるのに、円紫の弟子が「私」に手書きのメモを持ってきたりするのです。このあたり、今の高校生くらいの子が読んだらどう感じるのでしょうね。