ロバート・ブレイクの手による、イギリスの大宰相ディズレイリの評伝があります。名著だということは知っていたのですが、何分にも浩瀚なので手が出ずにいました。福田和也先生はトイレに置いて、半年かけてほぼ読み切られたとのことですが。
今日、上野での「グレの歌」の演奏会が終わった後、次の用事が1時間半後に銀座だったので、歩いて行こうと思い立ち、上野広小路まで歩みを進めたところ、路傍に古本屋の仮店舗が。なんでも、今日が最終日ということで、すでに店じまいの荷造りが始まっておりました。
ふと足を踏み入れて棚を物色していたら、あったのです。翻訳が。私は実は翻訳が存在することを知らなかったのでびっくり。
訳者は谷福丸さんという、存じ上げない方なのですが、監修が灘尾弘吉とあります。その昔の衆議院議長ですよね。そして版元が、なんと大蔵省出版局。
定価9800円が、古本屋の売値は8000円。高いけど、状態が良いので買うことにしました。古本屋さん、めちゃくちゃ喜んでました。
ディズレイリは改宗ユダヤ人ながら、ヴィクトリア女王時代にイギリスの首相となった人物です。名前がすごいですよね。Disraeli、つまりD’israeli ですから、「イスラエルの者」ということです。順風満帆で宰相まで登り詰めた人物でないことは明らかで、その苦闘の人生について、これから読んでいくのが楽しみです。
こういう邂逅があるから、古本屋巡りはやめられないんですよね。