日フィル復活の烽火:日本フィルハーモニー交響楽団第722回東京定期演奏会

誰も予想しなかったコロナウィルスの影響により日フィルが定期演奏会を中止するという決断に追い込まれたのは3月7日。それは期待の若手、カーチュン・ウォンの日フィルデビューになる筈の演奏会でした。あれから4ヶ月。われらが日フィルがサントリー・ホールに戻ってきました。ようやく、です。

休憩なしのパターンの演奏会で、コンチェルトは無し。曲目はバッハのブランデンブルグ協奏曲第3番と、ブラームスの交響曲第1番。指揮は私にとっては同世代の広上淳一マエストロ。(広上さんの方が2歳上でいらっしゃいますけれど。)

私がコロナ禍の前に最後に日フィルを聴いたのは2月12日の大分での演奏会。この時の曲は奇しくも今日と同じブラームスの1番。指揮は巨匠、アレクサンドル・ラザレフでした。

バッハ:ブランデンブルグ協奏曲第3番

編成はヴァイオリン3、ヴィオラ3、チェロ3、コントラバス1、そしてチェンバロ。チェロ以外は立奏でした。

広上さんはモダン楽器でのバッハにも積極的に取り組んでいて、一昨年には日フィルの定期でマニフィカトを取り上げています。 この演奏会はとても良かった。

私はヴィヴァルディ、バッハといえどもモダン楽器でバリバリやるべしという派ですので、今日の演奏には大満足。

小さい編成でしたが、ホールは良く鳴っていました。これがあるべき姿ですよね。

ブラームス:交響曲第1番

ここで管楽器が参加。木管はオーボエ杉原、フルート真鍋、クラ伊藤、ファゴット鈴木(敬称略)という日フィルのベストメンバー。

演奏は、思いのほかゆったりとしたテンポで、オケの各メンバーが万感をこめて演奏するという趣きのものでした。オーボエ杉原さんのソロも見事でしたし、第4楽章の、あのフルートソロでの真鍋さんも素晴らしかった。クラの伊藤さんも会心の出来栄えだったのではないでしょうか。

広上さんも、本当に良い指揮者になって、ずっと聴いている同世代の好楽家としては嬉しい限り。もう32年、併走して聴いているんですよね、数えてみれば。

オケはいわゆる12型の編成でしたが、聴衆がソーシャルディスタンスのせいで半分であるため、いつもよりも残響があり、よく響いて力不足な感じはありませんでした。むしろ、朗々と鳴っていたと思います。面白いものですね。

終演後

広上さんがマイクを握って、挨拶がありました。感無量。

プロ野球と一緒で、好楽家にもそれぞれの贔屓のオケがあります。私の場合、読響、都響(AとC)、東響の定期会員なのですが、贔屓は日フィルですかね、やっぱり。これは演奏水準云々ではなく、シンパシーの問題です。なんとなく、わが愛する広島カープに通じるものがあるのかもしれません。(もちろん、広島交響楽団も支援させていただいていますが。)

この記事を書いた人

元永 徹司

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

詳しいプロフィールはこちら