ピエタリ・インキネン 快心のブルックナー 〜日本フィルハーモニー交響楽団第704回東京定期演奏会

今日はなんと日フィルとN響が4時間違いでブルックナーの9番を演奏するという日。日フィルは若き俊英、ピエタリ・インキネン。N響は巨匠ヘルベルト・ブロムシュテット。好楽家の多くがハシゴする中、私は日フィルに絞ってサントリー・ホールへ。

 

曲目は前半がシューベルトの交響曲第5番。 後半がブルックナーの交響曲第9番。 コンマスはソロ・コンマスの扇谷さん。

シューベルト 交響曲第5番

ご存知のとおり、幸福感にあふれた美しい曲。 編成は小さくて、フルートは1本だけ。クラリネットは無し。

事前のインタビューでインキネンは「モーツアルトのような曲」と語っていましたが、今日の演奏はまさにそんな感じでありました。ディベルティメントのように響いて、とにかく美しい。

インキネンのシューベルトを聴くのは初めてだったのですが、かなり相性は良いのでは。日フィル(対抗配置)のアンサンブルも緻密で、素晴らしい演奏でした。次の機会には4番をやってほしいですね。

ブルックナー 交響曲第9番

今年はこの曲の名演が続いていて、坂入/ユヴェントス、ノット/東響の印象が強い中でのインキネン/日フィル。 大丈夫かという心配をよそに、インキネンの主張がはっきり出た名演でした。

どうしても私たちの世代では、朝比奈あるいはヴァント、チェリビダッケの印象が強いのですけれど、ああいう呼吸の深いフレージングではなく、かといって浅いわけではなく、むしろ弦5部のハーモニーが際立つユニークな響き。終演後にソロ・コンマスの扇谷さんと話したのですが、オケとしては意見はあるものの、納得して弾いたとのことでした。

いままでインキネンは日フィルと5、7、8番を演奏しているのですけれど、今回が一番よかったのではないでしょうか。彼はマーラーよりもブルックナー向きですよね。

オケについて

今日は首席フルートの真鍋さんはお休み。代わりに新日フィルの白尾さんがトラで乗っていて、これが幸いした感があります。

日フィルはブルックナーの演奏頻度は少なくて、9番は実に久しぶりであったはず。朝比奈先生の棒の下で全曲録音を経験している白尾さんは、さすがに聴かせどころを心得ていて、オーボエの杉原さんをリードする感もあり、とてもよかったです。トランペットのクリストフォーリさんも例によって輝かしいソロを聴かせてくれました。

終演後

アークヒルズ・クラブで「マエストロ・インキネンを囲む会」があり、これにお招きいただいていたので出席。楽しい時間を過ごしました。

以前のブログで、「世界一まずい飴?」と紹介したフィンランドの特産品サルミアッキを持参したのですが、日本でもサルミアッキが入手できることを知って喜ぶマエストロと記念に1枚。マエストロはもちろん、「大好きだよ」と語っておりました。

ちなみに、オケの他のメンバーには絶不評でした。 が、首席トランペットのクリストフォーリさんは、「イタリアにはもっと強力なやつがある」とのことで、今度帰国したら買ってきてくれることになりました。さてどんな味なのか、楽しみです。

この記事を書いた人

元永 徹司

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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