事業承継を成功させるために〜予告編

本日(2021年8月10日)、私の個人事務所である株式会社イクティスは、創立15周年を迎えることができました。会社の設立こそ15年前ですが、事業承継というテーマを追求しようと心に決めたのは2002年の12月。ですので、足掛け20年近くにわたって、このテーマ追いかけてきたことになります。

このたび、15周年という節目にあたり、いままで蓄積してきた知見をまとめてみようと思い立ちました。でも「集大成」ではなく、「中締め」です。まだまだ学ぶことはたくさんありますので。

今回のブログ記事は、予告編のようなものだとお考えください。

全体の構成

次のように考えています。書き進めていくうちに、変わる可能性はありますが。

序章  ファミリービジネスとは、事業承継とは

第一章 「継ぐ人」(後継者)の選び方

第二章 「継ぐ人」の育て方~学生時代、そして継ぐ会社に入るまで

第三章 バトンタッチの準備~社長の座を継ぐまで

第四章 並走期間のマネジメント~「譲る人」と「継ぐ人」の関係性

第五章 よりよいフェードアウトを目指して~すっぱり退くことの難しさ

ひとつの章についてブログ2回をあてることを想定していますので、全体で12回強。2~3週間に1回更新するとして、ほぼ半年がかりになります。

それぞれの章では、次のようなことをお伝えできればと思っています。

序章 ファミリービジネスとは、事業承継とは

「ファミリービジネス」にはいろいろな形態があり、ひとくくりに論じるのは乱暴に過ぎます。いまどの段階にあるかによって、大きく状況が異なるからです。私は創業から第三世代までを「新興型」と呼び、第四世代以降も続いている「伝統型」を区別して考えることにしています。ここでは2つの型の違いについてご説明するとともに、「新興型」の中での世代の違いについても論じます。

そして、望ましい事業承継の姿についてもお話ししたいと思います。この点は非常に大切であると常日頃から感じているからです。

第一章 「継ぐ人」(後継者)の選び方

ファミリービジネスの場合、長男が後継者になるのが当然で、選ぶ余地などないのではという考えが一般的ですが、それは間違いです。人間関係が公私にわたって濃密になることが避けられないファミリービジネスでは、ひとたび話がこじれると地獄の様相を呈します。だからこそ、「継ぐ人」をきっちりと選ぶ必要があるのです。

この章では私の持論である「長子承継説」についてご説明し、続けて兄弟姉妹の役割分担についても解説します。

「継ぐ人」の成長のスタートは、自分が後継者であることを自覚することから始まるわけですが、押しつけでなく、どのようにしたら自発的に自覚を抱いてもらうことができるのか、経験から導いた(現時点での)最善の解をご説明します。

第二章 「継ぐ人」の育て方

自覚を抱くに至った「継ぐ人」には、どのような成長の機会を与えるべきなのでしょうか。

まずは後継者が社会に出るまでに、「譲る人」が留意すべきことをご紹介します。

続いて「継ぐ人」が社会人になるときに就職先をどう選ぶべきか、そしてそこで何を学んでもらうべきかについて解説します。ここでは承継する会社にそのまま入れることの得失についても論じます。

第三章 バトンタッチの準備

「継ぐ人」を入社させた後、どのようなポジションを経験させるべきか、ご説明します。事業経験を積みながら社員からの評価を高めていくためには、周到な計画が必要です。

この章では、「譲る人」と「継ぐ人」(多くの場合には親子ですが)の間に中継役として第三者を挟むことの是非についても論じます。世の中には「プロ経営者」を間に挟むことを推奨する向きもありますが、私は反対です。詳しくご説明します。

第四章 並走期間のマネジメント

「継ぐ人」にいきなり全てを任せるのは、一見すると潔い決断ですが、リスクは大きく、何よりも社員を不安に陥れます。

「会長/社長」あるいは「CEO/COO」といった並走体制をとるのが望ましいのですが、これが「二頭政治」に陥らないようにするためには工夫が必要です。堤防が蟻の穴ひとつで決壊してしまうように、些細なことが命取りになりかねないのがこの段階の恐ろしさです。どう乗り切るのがベストなのか、お話しします。

第五章 よりよいフェードアウトを目指して

後継者にバトンタッチした後、「譲る人」はどのように会社に関わるべきなのか。実は、この段階がとても難しいのです。「譲る人」はどんな腹の括り方をすべきなのか、「継ぐ人」はそれをどのようにサポートすべきなのかを論じます。ここで失敗して「譲る人」が返り咲いたりすると、今までの努力は水の泡となり、「晩節を汚した」と評価されることになってしまいます。

事例についての、おことわり

できる限り抽象的な理論を並べることを避け、事例を紹介しながら具体的に話を進めるつもりです。

ただ、ひとつお断りしなければならないのは、コンサルタントとしての守秘義務がありますので、私の実体験についてお話しすることはできないということです。事例は書籍等で公開されているものを使います。ただし、その事例から教訓を引き出すにあたっては、私が蓄積してきた知見を存分に活用します。

想定する読者

「譲る人」と「継ぐ人」に読んでいただきたいのはもちろんですが、否応なしに巻き込まれる立場の方々、つまりは家族、そしてその会社の社員の方々にとっても、お役に立つ内容にしたいと考えています。

さいごに、ブログの分量について

実を言うと、以前にも同様のことを試みたことがありました。残念ながら挫折したのですが、その理由はブログの分量を調節するのに失敗し、中途半端な内容になってしまったことでした。だんだんとフラストレーションがたまり、嫌になってしまったわけですね。

ですので今回は分量という点では、読者のみなさんに忖度しないことを決めました。場合によっては結構な長文になると思います。この点での私のわがままをお許しください。

この記事を書いた人

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元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して17周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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