井上新八「続ける思考」~Never too late とはいえ、20年前に読みたかった本

私は語学マニアなので、習慣化の大切さは身にしみて知っているつもりです。そのため、この分野には強い関心を抱いていて、主だった書籍はほとんど読んできました。その私が断言します。この本は決定版です。これ一冊があれば、他の本は不要です。

著者の井上新八さんは日本を代表するブックデザイナーのひとり。組織に属するのではなく、個人で仕事をされている方です。「1日でやる事は全て午前中に終わらせる」習慣化の達人として、今から4年ほど前にネットで「鬼ルーティーン」としてバズったとのこと。ああ、そのときに触れていればよかった。

さて、この本のポイントについて、あとがきで著者ご自身は次のように述べています。

この本に書いてあることで、覚えておいてもいいことは2つだけだ。

「やろうと思ったらすぐやってみること」

「やると決めたら毎日やること」

あともう一つあるとすれば、「無理して続けなくてもいい」ってことだ。

たしかに。これに私なりの学びを付け加えると、こんな感じ。

  • 継続は仕組みが10割〜毎日やれば絶対続く
  • ない時間は朝につくる〜朝の習慣を徹底的にデザインすると、1日の可能性はかなり広がる
  • 記録は継続を生む〜今、毎日普通にしていることをただ記録するだけでも世界は広がる。どんなくだらないことでも続けていたら、そこにはきっと何かがある。誰にでもできるたいしたことないことを、誰もやらないくらいに積み重ねる。

この「仕組み」がキモであるわけですが、実践家としての工夫を凝らしたやり方が紹介されていて、膝を打つばかりです

この本、内容は濃いのですけれど、文章は平易でエッセイのようにスイスイ読めます。著者の Note を拝見する限り、もともとリズムのある文章を書く方だとお見受けしますが、編集者も優れているのでしょう。構成がすばらしい。ストレスなく読めます。

これは20年前に読みたかった本です。あっというまに第3刷になり、Amazon のランキングでトップを走り続けているのも頷けます。

この記事を書いた人

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元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して17周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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