ふと思ったのですが、乾布摩擦って、ご記憶ですか? 上半身裸になって、乾いた手拭いでゴシゴシこする、という運動。 あれは今、どうなってしまっているのでしょうか。
私(今年で58歳)が小さいころ、日本はそんなに豊かな国ではありませんでした。 寒い冬、蛇口をひねればお湯が出るなどということはなく、白い息を吐きながら小学校に通ったものでした。
そんな寒い朝の乾布摩擦。私は幼心に、こんなことして何の役に立つのかと疑問に思っておりました。
冷静に思い返してみると、小学校の高学年のころには既に乾布摩擦をやらなくなっていたような気がします。中学、高校は開成という、それなりに野蛮な学校だったのですが、乾布摩擦をやった記憶はありません。
してみると、自然に廃れてしまったのでしょうか。
そもそも、乾布摩擦にはどんな効果があると考えられているのか。 日本医事新報社のWeb医事新報には、次のように書かれておりました。
乾布摩擦には刺激負荷部位への直接的作用のほかに,全身的にリラックスさせて不眠・不安・抑うつを改善,疼痛を緩和,免疫機能を亢進する作用がある。近年,相補・代替療法として行われているが,その作用機構は迷走神経(副交感神経)緊張によるとされている。
ふむ。 強力な効果が期待されるというわけではなさそうですね。 これくらいの効果しか期待できないのであれば、寒い朝に上半身裸になることはなかろう、ということだったのでしょうか。
それに、世の中いろいろとうるさくなって、裸になることへの抵抗が大きくなったということも考えられますよね。
そして、もう一つ。 上に書かれている効果を期待するのであれば、シャワーを浴びれば良いとも言えますよね。 となると、シャワーが普及するようになって、乾布摩擦をする必要がなくなったということかもしれません。
ちなみに今回調べていたら、最近、乾布摩擦が復活する兆しが出てきているそうです。しかも、服の上から擦るのだそうですが、そこまでして乾布摩擦をする意味があるのか、理解に苦しむところです。
タイトルの下の写真は、定宿から撮った冬の南禅寺です。 こんな冬の朝に乾布摩擦というのは、もはや修行ですよね。