“Who, being loved, is poor ?”~ Oscar Wilde
ワイルドと言えば「サロメ」、そして「ドリアン・グレイの肖像」が有名ですよね。同性愛者であり、不品行を誇り、破滅的な人生を送り46歳で梅毒で亡くなりました。実にたくさんの鋭い警句を残していて、本質を見抜く目の持ち主であったことがうかがえますね。今日の言葉は、そのなかではかなりマイルドな部類に属します。
ここでの poor は「かわいそう」という意味ではありません。その意味の場合には、名詞の直前に来ないといけないんです。「貧しい」と訳すのにも、私としては抵抗があります。貧富を論じているわけではないからです。poor のもともとの意味に遡って訳してみましょう。
愛されているのに、満たされていないというのは誰だ?
さて、オスカー・ワイルドの肖像画を貼りますね。
画面の下に注目してください。そう、これはビアズリーが描いたものなんです。「サロメ」が有名になったのには、ビアズリーの蠱惑的な挿絵の力によるところ大でした。ワイルドとビアズリーの関係については、原田マハさんが「サロメ」という小説を書かれています。おすすめです。
ところで、今回びっくりしたのは「幸福な王子」の作者もワイルドであったということです。王子の銅像とツバメの話なのですが、幼き日の私はこれを読んで感動して泣きました。まさか「サロメ」のワイルドの手によるものであったとは。やはり人は多面的な存在なのですね…