ラザレフが振ると舞台情景が見える: 日本フィルハーモニー交響楽団第342回横浜定期演奏会

巨匠アレクサンドル・ラザレフを聴きに、クリスマス装飾が綺麗な、みなとみらいへ。

曲目は前半がチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。 ソリストは若手実力派の小林美樹。 後半はプロコフィエフのロメオとジュリエット(ラザレフ版)

 

チャイコフスキー: ヴァイオリン協奏曲

ソリストの小林さんは体格にも恵まれ、豊かな音色。でもテクニックをバリバリ披露するというよりも、ラザレフとともにこの曲のヴィジョンを共有して完成させるという趣の演奏でした。まあ、これだけ経験差があれば仕方ないですよね。

とくに2楽章。裸で出てくる木管のソロとのヴァイオリンの絡みは、まさにソロ各奏者とのアンサンブルでした。オケがソロに一方的に合わせるのではなく。

もちろん小林さんは上手いので、終演後はブラヴォーの嵐。(女性なんだから「ブラーヴァ!」では? とも思いましたけど。)

 

プロコフィエフ: ロメオとジュリエット(ラザレフ版)

ラザレフ版というのは、編曲ではなくて、第一組曲と第二組曲から抜粋した、「ラザレフ編による組曲」という意味でした。(ちょっと安心)

曲順は:

1 モンターギュ家とキャピュレット家
2 少女ジュリエット
3 ローレンス神父
4 ダンス
5 別れの朝のロメオとジュリエット
6 情景
7 ジュリエットの墓の前のロメオ
8 アンティーユの娘たちの踊り
9 仮面
10 ティボルトの死

聴いていて、ラザレフが劇場でキャリアを積んで来た指揮者であることがよくわかります。実際、彼はボリショイ劇場で長く振ってましたよね。

ふつうの演奏では聴こえないようなパートが浮かび上がり、また別のパートに代わっていく。そうすると舞台情景が見えるのです。

実演、CDを合わせて、この曲をかなり聴いている筈ですが、疑いもなくベストでした。巨匠ラザレフ、おそるべし。

オケについて

フルート眞鍋、オーボエ杉原、クラはエキストラの女性、ファゴット鈴木。 クラの女性はうまいのですが、やはりいつも合わせていないため息がぴったり行かないところがあって、ちょっと残念でした。でも木管は素晴らしい出来栄え。

トランペットのクリストフォーリとティンパニのパケラはいつものように素晴らしい。パケラの「仁王叩き」はラザレフの指示によるのでしょうか。ガンガン叩いてました。

アンコールはプロコフィエフ交響曲第1番の第3楽章。まあ、これはバレエ音楽ですよね。とても優雅でした。

 

終演後、事務長の後藤さんと話していたのですが、「いっそのこと毎回ラザレフでもいいですよね?」と申し上げたら、「さすがにそれは勘弁してくださいよ(笑)。」 練習、厳しいですものね。

 

タイトルの写真は前日23日のチラシです。小林さんは、こっちのほうが可愛く写っているので。

この記事を書いた人

元永 徹司

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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