砲兵工廠からドナルド・キーン先生、お岩様、そして思いがけず、「おばあちゃんの原宿」へ:街歩きの秘かな愉しみ(5)

珍しく赤羽で所用があり、終わったのが午後1時。そのあとの予定を入れていなかったので、さてどうしようかと思案。つらつらと地図(といっても Google Map ですが)を眺めた結果、全く土地勘のない東十条から大塚へと歩いてみることに決めました。さて、どんな街歩きになることやら。

東十条駅で下車して、まずは南口改札へ。見事なくらい、何の変哲も無い駅でした。

でも、古い鉄橋を渡ると、そこにはお地蔵様が。

「地蔵坂の子育て地蔵尊」というのですね。案内板がありました。

さて、お地蔵様の脇から坂を登ります。赤羽から東京までの京浜東北線は荒川の河岸段丘の下を走っているのですが、そこから河岸段丘に上がる坂道が地蔵坂というわけです。

登りきると、車がすれ違えない狭い道に続きます。この辺りは十条台というらしい。

ちょっと歩くと、やや広い道に出ました。この道に沿って南下します。

5分ほど歩くと分岐があり、そこを斜め右に進んでいくと右側に公園があります。

その公園の緑地を抜けると、右側にレトロな建物が。

どうやら北区の中央図書館のようです。

赤煉瓦の部分はカフェになってました。この赤煉瓦は旧陸軍の砲兵工廠の遺跡。日露戦争の際、小銃弾を増産する必要に迫られて開設されたもの。今も隣の敷地は陸上自衛隊の十条駐屯地です。

お昼を食べてなかったので、ビーフシチューを。案外、美味しい。

この図書館は先日物故されたドナルド・キーン先生と縁が深く、晩年の記者会見などはここで行われたとのこと。とても快適な図書館でした。

図書館を出てしばらく歩くと、道は下り坂に。下りきったところで石神井川にかかっているのが紅葉橋。江戸時代からの紅葉の名所らしいのですが、橋の装飾は安っぽいですよね。

橋のたもとには古刹がありました。金剛寺。

伊豆で挙兵したあと逃げ回っていた頼朝がここに陣を構えていたという伝承があるようです。

石神井川沿いに親水公園のようなものがあるのですが、水質を考えるとあまり魅力的ではありませんよね。

さらに南下する途中に、こんなものがありました。

ググってみました。

『中央温泉研究所は、昭和24年社団法人日本温泉協会学術部の付属機関として発足し、昭和31年(1956)年に財団法人の認可を受け、成長してまいりました。
この間、研究所では、50年以上の半世紀にわたり多くの温泉地で調査を行い、我が国唯一の温泉科学の民間調査機関として多大の貢献をしてまいりました。当研究所では豊富なデータを蓄積し、研究所では、1.分析、2.調査、3.設計の3つの部門が存在し皆様からの依頼を受け研究を行っております。
温泉は、多種多様な種類が存在します。さながら生き物のように常に変化しており、状態を把握し安定的な利用を行うには豊富な経験と知識を必要となります。』

さらに南下して見えてくるのは首都高中央環状線の高架。その下は明治通りです。

これを横切ってさらに南下すると、都電の線路に当たります。

線路に沿って100メートルくらい歩いたところにあるのが、妙行寺というお寺さん。驚いたことに、ここに四谷怪談のお岩さんのお墓と、忠臣蔵の浅野内匠頭の正室である遥泉院の墓所、さらには「魚河岸供養塔」と「うなぎ供養塔」まであるというではないですか。

けっこう立派な二重の塔が。

浅野家墓所とありますが、正確には供養塔でしょうね。遥泉院の墓所は高輪泉岳寺にあるはずです。

この奥にお岩様のお墓がありました。墓石というより、石塔。さすがに写真を撮るのは控えました。案内板をご覧ください。

魚河岸供養塔

うなぎ供養塔

お岩さんのお墓は、四谷三丁目の「お岩稲荷」にあると私は思っていたのですが、東京市の区画整理により、1909年に当地に移転したのだそうです。ここに移転してから今年で110年ですか。都電に沿った通りは、「お岩通り」と名付けられていました。

だだっ広い白山通りを横切ると、通りの名前が「栄和通り」に変わります。

なんと落語会の掲示が! 残念ながら、この時点で14時を過ぎてしまっていたのでお邪魔せず、歩みを続けます。

すると左手に見えてきたのが、巣鴨地蔵通り商店街の出口。

歩きはじめは大塚駅まで歩くつもりだったのですが、予定を変更して、「おばあちゃんの原宿」へ足を踏み入れることにしました。

甘味屋さんが見えてきました。日本橋の榮太棲さんとは別の系列だそうです。昔は親戚だったのでしょうけどね。「あちらは榮太棲総本舗、うちは榮太棲です。」との説明に、心なしか、ちょっと敵意を感じました。

あまりにも暑かったので、かき氷を。

炎天下に戻って歩いていくと、「とげぬき地蔵」が。

この写真は人が途切れたタイミングで撮ったのですが、とても賑わってました。テレビのクルーも来てました。

商店街を進むと中山道にぶつかるのですが、ここにあるのが江戸六地蔵の一つの真性寺。

つい先日、品川寺を通過したので、期せずして江戸六地蔵のうち二つを制覇したことになります。お地蔵さんらしく、傘かぶっておられますね。

ここまで来ると、もう巣鴨の駅前です。

4キロくらいの街歩きでした。写真を撮ったり、寄り道したりしていたので、1時間ちょっと。暑かったですね。でも全く予想していなかった展開で、楽しむことができました。

この記事を書いた人

元永 徹司

元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して12周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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