シャンパンの瓶のサイズの謎

普通の750mlの瓶の倍のサイズはマグナム。 その倍だと、ジェロボアムと言います。 さて、ジェロボアムって誰のことでしょうか?

シャンパンの瓶は大きければ大きいほど味わいが優れていると一般には言われています。グラス飲みができるシャンパンバーで選ぶとき、マグナムがあれば、たとえそんなに名が知れていないメゾンのものであっても、マグナムを選ぶのは鉄則ですよね。

マグナム以上にデカくなると、そもそも希少です。 特別な機会に、開けられることになります。

このデカい瓶の名前が、妙に面白いのです。

2倍: マグナム〜これはまあ理解できますよね。

4倍: ジェロボアム〜旧約聖書に出てくる、北イスラエル王国最初の王、ヤロブアムに由来します。(列王記12章)ただ、この人はあんまり評判は良くなかったのですね。

8倍: マチュザレム〜旧約聖書創世記に出てくるメトセラのこと。969年生きたとされています。 ただし、長生きであったという以外には、何も伝えられていないのです。

16倍: バルタザール〜新約聖書に出てくる東方の三博士の一人と伝承される人。 新約聖書には名前は出てきません。 外伝によります。

20倍: ナビュコドノゾール〜旧約聖書のアッシリアの王、ネブカドネザル2世。 ヴェルディのオペラ、「ナブッコ」でも知られていますよね。

24倍: サロモン〜いうまでもなく、旧約聖書のソロモン大王。

一番大きい40倍: メルキデゼク〜旧約聖書創世記14章18節に出てくる、「いと高き神の祭司」。新約聖書にも名前が出ます。

イエスは私たちの先駆けとしてそこに入り、永遠にメルキデゼクの位に等しい大祭司となられました。 (ヘブル書6章20節)

イエス・キリストと並ぶ位置付けであるメルキデゼクですから、これ以上大きな瓶は無いという40倍の瓶の名前であることは、まあ頷けるところです。

問題は、なぜ旧約から名前が取られているか、ということです。 しかも、その順番は、メルキデゼクが最大であることを除けば、法則性を見出すことはできません。 これは私にとって、長年の疑問でした。

今宵、ローラン・ペリエ(シャンパンの有名な蔵元です)のシニア・ブランド・アンバサダーであるフランス人に質問する機会がありました。

結果は、がっかり。そもそも彼はメルキデゼクすら知りませんでした。

うーむ。 謎は残ります。 これをお読みのソムリエ、あるいはシャンパンマニアの方、ご存知でしたら教えてください。

この記事を書いた人

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元永 徹司

ファミリービジネスの経営を専門とするコンサルタント。ボストン・コンサルティング・グループに在籍していたころから強い関心を抱いていた「事業承継」をライフワークと定め、株式会社イクティスを開業して17周年を迎えました。一般社団法人ファミリービジネス研究所の代表理事でもあります。

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